老後の住まい





■老後の住まいの探し方
 インターネット検索、市区町村の福祉課や地域包括支援センター、新聞広告、民間紹介会社など情報収集は比較的簡単にできます。公的施設は待機者も多く、あっても事実上入居できない場合や長期に待たされる場合が多くみられます。






■特養は「終の住処」!?
 必ずしもそうはいえません。特養に入居していても、長中期の医療行為が必要になれば退去する必要があります。この場合には、病院に入院することになり、そこで人生の最後を迎えることになります。







■有料老人ホームとサ高住
 有料老人ホームは建物と4つのサービスを提供していると、「老人福祉法」上の有料老人ホームとなり、都道府県へ届出が義務ずけられています。
 サ高住は「高齢者の居住の安定確保に関する法律(通称:高齢者居住安定確保法)」に基づいて国が定めた基準をクリアして設置者の意思で登録することが出来ます。
 サ高住の登録を受けながら定義上は有料老人ホームに当てはまる施設も多く、介護保険の特定施設入居者生活保護の指定を受けることも出来ます。最近サ高住は急速に増加しており、H28現在で19万戸に達しています。

■入居一時金の家賃相当
 有料老人ホームでは家賃の前払いとして、10〜15年間分を入居時に払うやり方(全額または一部)があります。入居者からすれば、あとは年金収入だけでまかなえるという安心感が得られますが、早期に死亡した場合等よく考慮する必要があります。


■高齢者を狙う犯罪
 振り込め詐欺を筆頭に高齢者を狙う犯罪が増加しています。悪質な訪問販売、送り付け詐欺などが代表的ですが、1人暮らしの高齢者の関係者は、十分留意する必要があります。


■高齢者の家計貯蓄
 某総研の推定によれば70歳以上高齢者の家計貯蓄総額は、2014年で248兆円、このうち認知症高齢者の家計貯蓄が52兆円としています。判断能力のない高齢者が巨額の預貯金を有している現実は多くの問題を抱えることになります。


■高齢者と運転免許
 75歳以上のドライバーの認知機能検査を強化した道路交通法が2017年から施行されていますが、「高齢者ドライバーのアクセルとブレーキの踏み間違い事故」が多発し、社会問題化しています。今後とも強力な規制が必要と考えられます。

老後の住まい

 
 自宅で生涯生活できれば、それにこしたことはありませんが、高齢者の多くは介護の理由で自宅から老後の住まいへ転居することになります。核家族が当たり前の現在では、2世代家族で子供に老後を見てもらうというのは少数派でしょう。老後の住まいを考えるのも終活の重要項目で、ここでは種類、費用、留意点、住まいの例を取り上げます。

1.老後の住まいの種類
 高齢者の住まいはかなり複雑な区分が存在します。法律・政令・省令などに基づいて、建物部分やサービス部分が細かく規定されているからです。一般に次のように区分できます。
*建物とサービスがセット
 ■介護保険法 :介護保険施設(特養、老健)やグループホーム
 ■高齢者居住安定確保法 :サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
 ■上記以外で老人福祉法 :有料老人ホーム(介護付、住宅型、健康型)
 ■上記以外  :一般住宅(シニア向けマンション)
(注)介護保険法に基づく介護保険施設として、療養型(療養病床)がありましたが、2017年度末で廃止されることになっています(2024年3月までの移行期間が設けられています)。新しく介護医療院が創設されます。

 民間運営施設で代表的な有料老人ホームには3つのタイプ(介護付、住宅型、健康型)があり、4つのサービス(食事、介護、家事、健康管理)のいずれか1つ以上提供しているもので、都道府県に届出義務があります。民間運営施設は要介護になる前から入居出来る施設もあり、バラエティーに富んだ施設ですが費用負担は大きいといえます。
(注)詳しくいうと介護付は、「一般型特定施設入居者生活介護」と「外部サービス利用型特定施設」に区分されます。

 公的施設で代表的な介護保険施設には、特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)の2タイプがあります。公的施設は入居条件や制約が厳しく、待機者も多く、すぐ入居できるとは限りませんが、費用負担は少ないです。

 例外も多くありますが、一覧表にしたのが次の高齢者の住まい一覧表です。
 

2.その費用
 費用は施設により千差万別といえますが、大体の目安となるのが次の表です。                  
       
3.留意点
 自宅から新たな老後の住まいへの転居は非常な労力と費用を伴いますので、慎重に次の点を考慮して老後の住まいを考えるべきでしょう。
 @健康状態(現状、今後の見通し)
 A趣味や生活スタイル(趣味が続けられるか? 買い物・散歩が出来るか?)
 B人間関係(知人と会える距離か? 訪問してもらえそうな施設か?)
 C収入と資産(年金と預貯金・自宅不動産など)
 D住み替えのタイミング(現在? 3年後? 老老介護の時期?)

4.高齢者の住まい例
 千葉県を中心とした高齢者の住まいの実例を調査したのが以下の高齢者住まい例です。調査して感じることは、『施設があるということと、入居できるということはまったく異なる』ということです。特に#8〜#11の公的施設は待機者が多く、要介護5でもなかなか入居できません。待機リストに100名を越す施設もあり、事実上入居不可能です。民間施設でも#5、#6は満員で待機リストに登録する必要があります。高齢者の住まいは、地元にこだわらず地方を含めた広範囲に探す必要があります。


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