介護














■介護と介助
 介護現場では、介護と介助という2つの言葉が用いられています。「介護」とは日常生活を営むことが困難に人に対して、日常生活動作、家事、健康管理、社会活動の援助全般をいいます。「介助」とは付き添い、サポートを意味し本人の食事やトイレ、お風呂などを手助けする行動をいいます。換言すれば、介助とは介護を実現する手段といえます。










■デイサービスとデイケア
 共に介護保険サービスの内容ですが、前者は「通所介護」で食事・入浴などの介護サービスを受けますが、後者は「通所リハビリテーション」で介護ではなく、リハビリを受けるのが目的です。要介護1〜5であれば併用が可能ですが、要支援1〜2はどちらか一方のサービスしか受けられません。


■ショートステイとは?
 「短期入所生活介護」もいわれ、要介護の高齢者が数日〜1週間程度施設に入所できるサービスです。特養や老健に併設された施設と、単独にショートステイ専門の施設に宿泊する2つのタイプがあります。要介護1〜5の認定を受けた人と、40〜64歳で要介護と判断された人が利用可能です。なかなか予約が取りにくいという現実があります。




■高齢者の医療費と保険料
 国民医療費は2015年で42.3兆円、10年後の2025年では1.5倍の61.6兆円になると推定されます(H29.7 厚生労働省)。
 現役世代だけでこの医療費を支えるのは無理ですし、財政出動ももう限界です。したがって、高齢者優遇制度は今後廃止せざるを得ない状況です。保険料の1,2割負担対象高齢者の削減は、当然の方向性といえます。
 厚労省は『若い世代との間や、同じ高齢者の中での公平を図るため、高齢者の方にも、所得に応じてご負担をお願いすることになりました』とPRしています。



















■延命治療か平穏死か?
 日本人は6割が自宅での最後を希望しているにもかかわらず、7割が医療機関で死亡しているそうです。そこでは原則として、延命治療が行われています。最近は平穏死として、終末期以降は過剰な治療を避け、自然な最後を迎えたいという人が増えています。エンデイングノートの延命措置、具体的には心臓マッサージ、胃ろう(PEG),人工呼吸器等を使用するか否か明示しておく必要がありそうです。







介護

 
 終末期の人の生活パターンは千差万別です。介護を全く必要としない突然死する人もいれば、寝たきりで10年以上も介護ずけで老衰にて死に至る人もいます。介護のレベルもピンキリで訪問介護サービスから特養での寝たきりサービスまであります。平均寿命が世界のトップクラスの日本では、多くの人は介護のお世話になると考えて終活する方が現実的です。

1.介護が必要となった主な原因 (平成28版高齢社会白書 内閣府) 
  脳血管疾患から関節疾患までで原因の6割を占めます。
 第1位 脳血管疾患      17.2%
 第2位 認知症          16.4%
 第3位 高齢による衰弱   13.9%
 第4位 関節疾患       11.0%

2.介護のランク
 介護保険では介護にランク付けをして介護保険サービスを受けるようにしています。要介護は、寝たきりや認知症など介護が必要な状態で、「介護給付」のサービスが利用できます。要支援は、要介護にならないまでも、日常生活に支援が必要な状態で、「予防給付」のサービスが利用できます。具体例で介護のランクを確認してみましょう。

□要支援1:排泄や食事はほとんど自分でできるが、身の回りの世話の一部に介助が必要(状態の維持・改善の可能性の高い状態)。
□要支援2:食事、トイレなどはできるが入浴などに一部介護が必要な状態(要介護になるおそれがある状態)。
■要介護1:生活の一部に部分的介護を必要とする状態。排泄、入浴、着替えなどに一部介助が必要な状態。
■要介護2:排泄、入浴などに一部もしくは全て介助が必要で、着替えに見守りなどが必要な状態。
■要介護3:重度の介護を必要とする状態。排泄、入浴、着替えについて全て介助が必要な状態で、認知症に伴う問題行動が見られる。
■要介護4:最重度の介護を必要とする状態。排泄、入浴、着替えについて全て介助が必要な状態で、認知症に伴う問題行動が一層増える状態。
■要介護5:寝たきりの状態。生活全般にわたって全面的な介護が必要な状態。
(注1)これらの状態例は、平均的な状態であり、本人の状態と完全に一致しない場合があります。
(注2)それぞれのランクごとに「支給限度基準額」が決められています。要支援1(月5万30円)〜要介護5(月36万650円)H26.4
(注3)身体の状態と具体的な状態
               

3.高齢者の3つの終末パターン
 多くの例外もありますが、高齢者は、自立期→要支援期→要介護期→終末期というプロセスを経て死亡・相続に至ります。これに平均寿命・健康寿命・不健康な期間と介護の比重を考慮すると、以下のような3つの終末パターン例が得られます。
@「ピンピンコロリン型」:
理想的な終末パターンで、生涯自宅で生活でき、ある日突然死もしくはがんの王様といわれるすい臓がんで余命1ヶ月を宣告され死に至る終末パターンです。幸いなことに、介護には一切お世話になりません。
A「ピンカイコロリン型」:
平均的な終末パタンで、要支援期では自宅からのデイサービスでカバーし、要介護期に至ると介護施設で、誤嚥性肺炎で生涯を閉じます。
B「カイカイコロリン型」:
最悪の終末パターンで、70歳で脳梗塞、半身不随で介護施設に入居し、認知症により寝たきり(要介護5)で10数年にわたり本人夢の中で生活します。死亡病名はなく、老衰とされます。
   

4.介護認定のプロセス
 本人や家族が市区町村に要介護申請をして認定を受ける必要があります。
 @要介護認定申請書を入手
 A同申請書記載し市区町村または地域包括支援センターに提出
 B認定調査員の認定調査を受ける
 C認定結果通知書を受け取る
 Dケアマネジャーがケアプランを作成
 E介護サービスの利用開始
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5.3つの介護サービス提供施設
 介護サービスを受ける施設としては、次のように3つの施設があります。
 @入所型:
 高齢者が入所してサービスを受ける施設で、24時間介護サービスを提供
   (例)特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、グループホーム
 A通所型:
 規定された時間帯に施設訪問した高齢者に介護サービス提供
  (例)デイサービス、デイケア、ショートステイ
 B訪問型:
 介護職員が高齢者宅に訪問して介護サービス提供
  (例)訪問介護(ホームヘルプ)、訪問入浴介護、訪問看護

6.介護をどうする?
 介護を同居している子供に頼むのか、現有財産を使用してお金で解決するのかにはいろいろな要素が絡んできます。65歳以上の家族形態は次のようになっています(厚生労働省 国民生活基礎調査の概況)。
 子と同居(40.0%) 夫婦のみ(38.5%) 単独世帯(17.7%) 非親族と同居(3.7%)

これによれば4割の高齢者が子と同居していますが、多くの場合は同居しないAの選択の方が親子共に問題がないようです。
 @現有財産を残して、同居している子供の世話になる
 A現有財産を使って、同居しないで子供の世話にならない
 ある高齢者が、息子夫婦と同居を条件に夫に死なれて残されたわずかな財産を新築費用に使い、新築・同居しました。ところが息子の奥さんと巧くいかず、その家を出るにもお金がなく、毎日苦悩に満ちた生活をしている話を聞いたことがあります。Aを選択し、費用の安い有料老人ホームでのびのび生活した方が良かったのかもしれませんが、後の祭りです。